※2013年8月13日、池袋シアターKASSAIにて行われたトークイベントで答えきれなかった質問を、俳優・水越健を交えてその日のうちに回答しました。

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質問:
「役作りはどういうふうにしていますか?気をつけていることがありましたら教えてください」

 

マクガフィンズ俳優 水越:
とりあえず他の人より何か秀でた感じにしようってのは思ってるね。
「動けるからめっちゃ動こう」とか「めっちゃ声出そう」とか「めっちゃテンションあげよう」とか。
はじめから決めてかかるんじゃなくて、とりあえず最初はフルパワーで出しといて、あとはバランス見て弱くなったり強くなったりする場所があればいいなと思ってる。だから、心のおもむくままにやってるっていうのが一番正解なんだけど。

マクガフィンズ脚本 横田:
あーあーあーなるほどね。

水越:
あとは台本見て、違和感がなければそのまま作って。

横田:
違和感?

水越:
うん。芝居始めたばっかりの時とか、うまくいってない時を見ると「なんでお前そのチョイスをした」っていう芝居をしてることあるじゃん。「なぜそのキャラにした」みたいな。

横田:
ああ!キャラクターね。

水越:
「なぜこの流れでこのキャラにした」みたいな時あるじゃん。
ただその理由が「その人の中ではなんかあるんだけど、見てる側からしたら意味わかんねえ」みたいにはならないようにしようっていうのは考えてる。
でもそれは多分考えてやってることじゃなくて、今までの経験とか……いろんな人に言ってもらったこととか見てもらったことをお客さんに見てもらって、反応してもらったことで作り上げてるから。

横田:
感覚ですよね、もう。そうなってきちゃうと。

水越:
それこそ、センスっていうものになってくるのかな、各個人の。
でもとりあえず気をつけてるのは「一番何かしよう」「声出そう」「元気よく動こう」っていうこと。マクガフィンズは自分にとってエネルギーを出す場でありたいから。っていう感じかな。
あとは、ナレーションとかちゃんとしゃべってる役でキャラクターが付いてたら、それは、横田くん古田島くんとかみんなに聞いたりして「こんな感じでいいよね」っつって作る。

横田:
「このシーンで一番自分が目立ってやろう」っていう意識はあります?

水越:
ある。

横田:
あるんだ!

水越:
あるある。とりあえず最初に一番目立っといて「目立ちすぎですよ」ってなったら「じゃあここは違う誰かの目立つところなんだ」ってなる。

横田:
じゃあ、その目立つ目立たないはとりあえず最初になんの理由もなく「目だとう!目立つことが大事だ」っつって一回やってみるってことですか?

水越:
そう。一回やってみるってこと。

横田:
それでそのまま行けたら行くし、行けなかったら行けないっていう判断を周りに任せるってこと?

水越:
そうだね。でもそれはここだからできることで、別の場所行ったらそれは既にやってなきゃいけないことだと思うけどね。

マクガフィンズ演出 古田島:
さっき「芝居がうまくいかないとき」みたいな話をしたじゃない。「なんでこのチョイスをしたの」とか。
それでさ、Twitterでお気に入りにいれたのがあるんだけど。
演出家の長谷トオルさんのツイート

俳優が芝居が上手く行かず悩み続けるときは、大概が演劇以外のことが起因している。回りの者は感じ取れるが、本人は分かっていない。そして、この事に関してはどんなに優れた演出家であろうと手を貸してあげられない。僕は俳優の集中力は至上の悦楽から発すると思っている。

あと、同じく演出家の西田シャトナーさんのツイート

思うように良い演技ができない…と悩んでる時は、ほかの役者が良い演技をできるサポートにしばらく集中。これでしばらく、作品全体としてはプラスマイナスゼロ。それには興味もてず、自分の演技を良くすることにしか集中できない役者はね…そう、その性格が、君の演技を向上させない原因だな。

こういうのがあってね。

横田:
なるほどね。そうかもしれないね。

古田島:
やっぱその……コミュニケーションが足りないんじゃないかなそういう人、って思って。

水越:
ああー!それはあるね!

古田島:
他人とのコミュニケーションから生まれることってすごく多くない?

水越:
コミュニケーションもそうなんだけど「あいつを目立たせてやろう」とか「おれは今ここで引いたほうがオイシイ」とか、なんか自分以外のものを使って自分がよくなる。相手がよくなる。あ、相互関係なんだって気づければ結構スッといくんだよね。

古田島:
そうすると、自分の役のポジションが見えてくるからさ。自分がどうすればいいのかわかってきて、結局役作りっていうか、勝手に自分ができてくるっていうか。そういうのはあるよね。
横田は役作りは?

横田:
おれはその……マクガフィンズでは自分の書いてる本を主にやってるから、アドバンテージがあるわけですよ。「こういう役ですよ」みたいなの、全部わかるからね。ただやっぱ、おれはこうだと思ってたんだけど、いざやってみると演出と要望が違う場合がある。そういう時はさっきの水越さんと一緒で「受け入れますよ」と。
最終的な判断はおれがするわけじゃないから、なるべく縛りを持たずにやって「ちょっとそっちで決めてね」みたいなところはある。

古田島:
横田に役ふって思うのは「俺の考えたのよりこっちのほうが面白いな」っていうのは結構ある。「こうやってやったほうが面白いんだ」っていう。

横田:
ああ。

水越:
自分の発想より、横田の出したものが。

古田島:
そう。「横田がやるとしたら多分こういうふうにやるんだろうな」って想像して配役してるんだけど、実際やってみて全然違うものが来た時は面白い。

横田:
ああー、やっぱそういうこともあるか。

水越:
吹き替えとかでもあるんだけど、役振って「予想以上だったな」っていう良さだよね。

古田島:
そうそう!

水越:
それこそ「人のためならず」じゃないけど。こうだなって思ってやったことが、まわりにいい影響を与えてる。やっぱりベテランさんとかが面白い芝居するとみんなそっちに引っ張られてレベルが上がったりするのよ。
そういうのもあるかもしれない。
役作りでそこを意識してなくても「おれはこう思うんだよな」っていうのが相手の思ってるものを崩さなければ、相互作用ですごい良くなるんだよね。

横田:
なるほど!それはあるかもしれないっすね!

 

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