関東在住の93.2%の人がディズニーランド、ディズニーシーのどちらかに行った事があるという。
そして、彼女も大ディズニーランド好き。
二人はルンルンと初体験に臨んだが、チケット事前購入を済ませていない人の入場制限で入れない。
そこで、なんと二人はウォルト・ディズニーに遭い、裏口からの入場を試みるが……。
その過程で彼女が二股、三股をかけて浮気していたことが分かってしまう。
ファンタジックなものを求める乙女の姿と、したたかなリアルな姿を絶妙に交錯させたストーリー展開の冴えた物語だった。
(tetorapack、CoRich舞台芸術「男女」レビューより一部抜粋)
ディズニーランドに遊びに来たのに入場制限で入れなくて、泣く泣くお隣の葛西臨界公園にやってきた若いカップルが
「前もってチケットを買っておけば、こんなことにはならなかった」とお互いを責め合っている。
どちらとも一歩も引かない構えが続くなか、黒いマントを翻し怪しげな男が現れる。
彼はディズニーランドの地下室で冷凍保存されたウォルト・ディズニーだと名乗る。
無論、ふたりははなから信じていないのだが、地下室に繋がる鍵を開ける門番を探しあてれば、
特別にディズニーランドに入れると言われたので
女の方は自称ウォルト・ディズニーな男の話を信じているフリをして、写真で見せれられた門番をさがしはじめる。
すると、彼女の子どもを名乗る女が目の前に現れ、女と浮気をしたと名乗る男も現れる。
男女の喧嘩が激しく火花を散らす中、門番の『ウォーリー』が鍵を持ってやってくる。
しかしふたりにはウォーリーの姿は見えない。
夢を見ることを忘れてしまったからだろうか。
ふたりは彼女の浮気が原因で離別する。既存のキャラクターをパロディー化して、『さがす』ことに副次的な意味合い噛ませているのは面白かったのだけど、
ひとりづつ舞台にやってきて、何かをやらかすことが一話目からパターン化されてしまっているように思えたためか、
女と浮気をしたらしい男が現れても意外性をあまり感じられなかった。また、その後で別れる話が出た時もお互いを責めることしか出来ないふたりなら、仕方がないかなぁ…と。
別離に至るまでの男女の気持ちの変化のようなものが描かれていれば、異なる印象を抱いたかもしれない。
(Hell-see、CoRich舞台芸術「男女」レビューより一部抜粋)
まだディズニーシーができていない頃、ディズニーランドの人出はもっとすごかったんですよ。
今でこそ、シーとランドがあるから収容人数は約2倍ですけど、前はひとつしかなかったから入場制限が頻繁にかかっていて、
ヘタすると土日なんて、10時頃行ったら「もう入れません」とか、そういうこともあったんですよ。
たしかあれは、小学生の頃で、週末に家族でウキウキしながら行ったら入場制限がかかって、
母親が「何時頃になったら入れますか」って聞いたら、今午前中なのに「17時頃です」とか言われたもんだから、
ああこれはダメだ、帰ろう、ってなって。
でもせっかく予定合わせて遊びにきたんだし、って、泣く泣く隣の葛西臨海公園に行ったという、
なんか未だに忘れられないほろ苦いメモリーからできた話です。
綾瀬「寝る前にカーテンを閉め忘れて、窓から差し込む日差しで目が覚めた」
江口「天気予報によれば、降水確率は10パーセント」
綾瀬「今日はすごく楽しい一日になるだろうと思った」
江口「2ヶ月前から行こうって約束してた」
綾瀬「本当は2ヶ月なんてもんじゃなくてずっと行きたかった」
江口「カップルでいくと別れるなんて言うけど」
綾瀬「それだけたくさんのカップルが行ってるからだと思う」
江口「電車の窓から海が見えた時には本当にテンションがあがった」
綾瀬「あたしのテンションは朝からずっと最高だった」
江口「みんな憧れる夢の国」
綾瀬「一度は行きたい夢の国」
江口「ネズミが主役の夢の国」
綾瀬「何度も行きたい夢の国」
江口「向こうの方に雑誌でしか見た事がなかったお城が見える」
綾瀬「目の前に広がる景色を見て自然に笑顔がこぼれる」
江口・綾瀬「ああ!楽しいなあ!葛西臨海公園」
綾瀬「おおおおおおおおおーーーい!!!!」
この本の冒頭、このくだりをやりたいがために書いた本です。
江口(水越健)の役名は江口寿史から。
綾瀬(金魚)の役名は綾瀬はるかから取りました。
葛西臨海公園は、ほんとになんにもないんです。
劇中にも「原っぱしかないぞ」っていうセリフがありましたが、本当に原っぱしかない。
いや、あるにはあるんですよ。水族館とか。
京葉線に乗ってると見える、あのばかでかい観覧車とか。
せっかく来たし観覧車でも乗って帰るかーって近くまで行ったら、一回乗るのにひとり700円。
しかも3歳から700円。たけえよ!
ぼくの場合は家族4人で行ったんで、みんなで観覧車一回乗っただけで2800円。
乗りませんでしたけどね。高いから。
結局、母親は原っぱに腰を下ろして、ぼくはずっと父親とフリスビーかなんかを投げてた。
結局、入場できるって言われた17時頃を過ぎても、ずっと原っぱで転げまわってた、ような。
そこから、「そういえばディズニーに対しては男女でモチベーション違うな」とか、
「男って、女の子ほどディズニー行きたいと思ってねえな」とか、
そういうところをふくらませて、「ディズニーランドにカップルで行くと別れる」という都市伝説を絡めて。
壮大なディズニーリゾートあるあるを15分でお送りしました。
この本は、ジョビジョバの「BIG EGG」というコントに強く影響を受けていて、
(JOVI JOVA 1ST COLLECTIONに収録。品薄)
「歩き回っていると、よくわからない人がどんどん出てくる」
「そして状況がどんどんわからなくなっていく」
「気づいたらおかしな世界観の場所に足を踏み入れてました」
というパターンはそこから借りています。
おかしな世界観の第一歩として登場するひとりめが、ウォルト・ディズニー(横田純)その人なわけですが、
ご覧いただいたお客様にも「ありゃなんだ」と言われました。
「まったく似せる気がないじゃないか」と。
「やる気あんのか」と。
すいません。似せる気ゼロでした。だってウォルト・ディズニーじゃないもの!
彼は白い手袋をつけてマントをひるがえして登場しました。
あと、モノクルとシルクハットとステッキがあれば、アルセーヌ・ルパンばりの洋紳士そのものだったのですが、
外見的なイメージは完全にアルセーヌ・ルパンです。
台本の役名には「紳士」と書いてありました。そのまんまですね。
そこから紆余曲折を経て、カップルの前にウォーリーが登場するんですが。
正直言って一番大変だったのは衣装で、ウォーリーが着ているあの横じまの服が売ってなくて、
ネットで「ウォーリー コスプレ」というワードで検索したり、(案の定なにもヒットしない)
「楳図かずおが着てるアレはどこで売ってるんだ」
「吉祥寺のロヂャースってとこにあるらしい」
「探せ探せ探せ!」
と、本番前に店をまわりまくるハメになったことです。(結局全然関係ない店でそれっぽい服を見つけました)
綾瀬「まあ、浮気したあたしが悪いんだけどね。結局さぁ、一番好きな人には気持ちは伝わらないものなのかなぁ」
一番好きな人がちょっとつめたかったり、付き合ってても、ほっとかれたりしたら、浮気をしちゃったり、
自分にアタックしてくれる他の人になびいてしまうもんなのかなぁ。
どうなの?
いろんな人から告白されるけど、ぜんぜんタイプじゃない人ばっかりで、わたしが好きな人からはまったく相手にしてもらえないんだ。
どうしてなの?
おしえて、えらいひと!
2010年8月10日
MacGuffins 脚本 横田純(Jun Yokota)