今回の芝居は前回の公演と真逆です。

前回は台本がすんなり決まったのですが、今回、台本が思いの外難航しまして、
何度も打ち合わせをしては横田が書き直して、打ち合わせをしては横田が血反吐を吐いてを繰り返しました。
迫り来る締め切り、子供のように茶碗を叩き台本を待つ役者。
まぁ、台本が上がった瞬間から彼等には地獄が待っているのですが。

そうして出来上がった台本。
出来上がって横田から言われた言葉は、
「ぶっちゃけ今回の台本、前回よりも気に入ってないでしょ」でした。

まぁ、ぶっちゃけて言うと図星でした。
前回の台本の方が独特の雰囲気があり、役それぞれにも芯があると感じられたのです。
この台本で戦えるのか、観てくれる方々に何かを残せるのか、自問自答しました。
ただ、結局台本の色を決めるのは、演出である自分なのだからと思い稽古が始まりました。

いざ稽古が始まると集まった役者が面白い面白い。
自分の中のイメージもドンドン形になっていく。
だから、稽古が進んでいくにつれて、確かな手応えを感じられるようになり、それは自信になりました。

本番が近付くにつれて評判が上がって行き、前回はそれが正直プレッシャーに感じられ、押しつぶされそうにも感じました。
理解されるのか、何かを残せるのか、それとも、ズタボロに打ちのめされるのか……

今回も正直その気持ちで一杯です。
不安なんてないなんて言ったら嘘になります。
けど、不安が無い演劇人なんていません。
そんだけ不安だってことはそんだけのものをかけたからこそです。
そして、今回は確かな光があります。
すがれる様な、頼れる様な、もたれかかれる様な。

 

今回のお話は主人公が彼女にプロポーズしようとする所から始まります。
プロポーズなんてした事ないけど、けど、そこには明るい何かが待っていると思えるから、プロポーズするんだろうと思います。

自分も同じです。
こうして芝居なんかやってるのはそこに何かがあるからやってるんだと思います。

 

 

2011年9月2日

MacGuffins 演出  古田島啓介(Keisuke Kotajima)