私と赤鬼との出会いは三度ありました。

 

私が赤鬼と最初に出会ったのは高校一年生の春。
当時、演劇部に入部したばかりの頃、先輩達が春の大会で上演したのが野田秀樹さんの赤鬼でした。

それまで芝居をほとんど観たことの無い私は、先輩達が上演した赤鬼を観て単純に面白かったですし、
私の中でとても印象的な芝居になりました。
高校の頃の先輩方は本当に私の土台を造って下さった方々で、
この芝居があったからこそ、今まで芝居をしているのだと思います。

 

二度目の赤鬼との出会いは大学二年の時。この時は自分が演出しました。
大学入学当時、高校の先輩に言われた、
「お金を払わずに芝居に関わり続けられる環境は凄く貴重」という一言が印象的で、大学の演劇部に入部しました。

そこで出会ったのが『水越健』です。
大学一年の私は演劇部に所属はしていましたが、そことは全く別の小劇団にも所属しており、
そちらの公演に集中していたため、演劇部は一年間、幽霊部員状態でした。
そんな私は大学一年の終わり頃、先輩である水越に呼び出されました。
私はあまりの幽霊部員ぶりに怒られるのかと思っていましたが、そこで言われた言葉は「一緒に芝居がしたい。」でした。
こんな幽霊部員な後輩に、そんな言葉をかけてもらったら、
応えないわけにはいかないだろう!という気持ちから赤鬼が動き出しました。

そして、その数ヶ月後に新入部員として入ってきたのが『相川雅史』でした。
水越、相川などの役者に支えられ、赤鬼の公演は大成功を納めました。
私の中で何か一区切りついたようなものまで感じられる程に。

 

三度目の出会いは私が大学四年生の頃。
すでに演劇部も引退しているというのに、ひょんなことからもう一度演劇部の公演を演出することになりました。
そこで選んだ台本が赤鬼でした。
二年経ち、自分の中で赤鬼という作品の可能性を感じるようになったのです。
ただ、そうそうに就職も決まっていた私は、この公演が自分の人生の最後の舞台だと思っていました。
なので、私が今まで出会った役者で、考えられる最高のキャスティングをしたいと思っていました。

まず浮かんだのは水越でした。
ただ、彼はもう大学を卒業しており、舞台ではなく声優を目指して勉強中でした。
そんな状態でも彼は出演を快諾してくれました。

そして、もう一人浮かんだ人物がいました。『横田純』です。
ただ、横田とは高校の頃に顔を合わせた程度の言わば知り合い。
連絡先も知らないし、今何をしているかも知らない状態でした。
そんな彼が偶然私のバイト先に来て、告白するかのように出演依頼をしました。

その舞台には相川も参加し、そこで初めてMacGuffinsの旗揚げメンバーが揃いました。
言わば、赤鬼という作品がMacGuffinsを繋げてくれた、作ってくれたと思っています。

 

私はこの公演でMacGuffinsの新しい可能性を感じられると信じています。
言わば、リスタートです。

今回はオール劇団員で挑みます。
私達の新たな一歩を劇場で感じて下さい。 

 

 

2013年8月11日

MacGuffins 演出 古田島啓介(Keisuke Kotajima)