# 13「お願いだから殴らないで」

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枯れない花はないが、咲かない花はある！

50代会社員。妻と息子の三人家族。
ごくごく普通の一般家庭の主であり、稼ぎ頭でもある私は、
ある日急にリストラを宣告されました！

リストラされたのは衝撃的だったが、退職金が出たのは幸運だった。
初めて抱えた2000万の重みは、私の人生の重み。
しかし私の人生はその帰り道、ひったくられてあっさりなくなってしまいました！

狂い出す歯車！離散する家族！
どうしてだ！私はまじめに生きてきたのに！
リストラは会社の都合、退職金は盗んだやつが悪い。
他人の都合で私の運命はめちゃくちゃにされ、
仕事も金も家族もなくし、自由になった私はひとり、あてもなくさまよう！

私は小さい頃から、ヒーローになりたかった。
自分の力に誇りを持って、少しだけ胸を張ってみたかった。
しかし、私にはなれないのだ！それに見合う才能がなかったから！
天が私に与えた唯一の才能、それは、じゃんけんがやたらと強いということだ。
なんなんですかその才能。神様、全っ然役に立ちません！

「なあ。ここらで一発、大逆転してみたくねえか？」
「人生の、大逆転」

私には何もない！
何もないが、そんなことがもしできるのならば！

「あんたにこれからひとつだけ、おれがお願いをする」
「カンタンなお願いだ」
「それをきちーんと最後までやってくれたら、７億円やる。どうだ？」

お金はないが時間だけはある、時間セレブの私は思う！
死に際に「あれをやればよかった」と思いそうな事をしてる時が、
本当に素晴らしい時間なのだと！

死に際にはきっと、お金が欲しいとは思わない。
きっと、あそこに行っておけばよかったとか、
あの人ともっと話しておけばよかったとか、そんなことを思うのだろう！

私は家族と暮らしたい！
愛する妻とかわいい息子と、幸せな家庭を築きたい！
何もかもなくして気づいたのだ！
きっと、ひとりだから自由なのではなくて、
どこかに帰る場所があるからこそ、本当に自由だと言えるのだ！

崩れかけた帰る場所を取り戻すため、私は７億の夢を追う！

私には何もない！
何もないが、じゃんけんだったら誰にも負けないぞ！やったーーー！！