マクガフィンズの次回公演、『お願いだから殴らないで』。
この作品を演出するのは、三度目になります。

この芝居をもう一度作り込むと考えたときに沢山のことを考えました。どうすれば、横田が書いたこの本を昇華出来るのか。

その時の「やりきった!」という想いではなく、この本が持つメッセージ、沢山の風景、沢山の言葉、そして、主人公が持つ想い……。けれど、そのどれを並べても、三度目の『お願いだから殴らないで』に私の中でしっくりこなかったのです。

前回、前々回は私はこの作品を面白いものを作ろうと、どう表現しようと考えてました。それは、私が作品を作るときに常に最初に考えることです。ただ、そこを考えていても、なんだか今回は何も浮かんでこなかったのです。

今の私は当時の私とは違います。妻がいて、子供がいて、守るべきものがあって……。

今まで妻じゃないと寝付かなかった息子が、最近は私と一緒に寝ることが多くなりました。
私が仕事で遅い日は玄関の前で私を待って動かないそうです。
お風呂も二人で入ります。
保育園が休みの日は二人で過ごして、息子は拙い喋りで一生懸命お話をしてくれたり、歌ったり、泣いたり、喜んだり……。

私はそれがただただ愛おしいのです。家族というものが。

その自分の想いを強く持った時にこの台本に色が付いてきました。

この話は主人公の家族のためにという想いで話が進みます。そこに少しでも今の私の想いが乗ればと思います。
どう表現しようとか、どうやったら面白くなるかとか、頭で考えることを一回置いてでも。

その為にこのメンバーに集まってもらいました。私の想いをこの役者たちに託します。
主人公とその奥さんは実際に家族がある役者さんにお願いしました。だから、きっとこの芝居は私だけではなく、沢山の人の想いが乗ると思います。

そして、最後はあなたの想いも乗せてください。
11月に劇場でお待ちしています。

 

MacGuffins
演出 古田島啓介(Keisuke Kotajima)

 

 

お願いだから殴らないで

MacGuffins # 13
「お願いだから殴らないで」
2016.11.16(Wed) – 11.27(Sun)
脚本:横田純
演出:古田島啓介
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