※2013年8月13日、池袋シアターKASSAIにて行われたトークイベントを再構成したものです。

MacGuffins Evening

劇団名の由来、旗揚げメンバーの繋がり

 

マクガフィンズ演出 古田島:
(異常にこわばった表情で)よろしくおねがいしまーす。

マクガフィンズ脚本 横田:
皆さんこの人誰だか知ってます?うちの演出なんですけども。コタジマという。

古田島:
あんま表に出ることないので、こう……いざ舞台から客席を見るとこんな感じなんだなーって。

横田:
はっはっは(笑)

古田島:
すごい緊張してますね。

横田:
まあねえ(笑)

古田島:
めちゃめちゃ緊張しますね(笑)

横田:
こういうの、ふだんやらないからねえー。
これからちょっとずつ答えていきたいと思うんですけど……えーっとですね、まずは「マクガフィンズの名前の由来はなんですか」と。

古田島:
由来……(笑)
あのー、最初、男4人で立ち上げたんですよ。

横田:
そうですね。

古田島:
横田と、俺と、水越と、映像の相川の4人で始めて。Skypeで話をしてて。

横田:
Skype使って会議やってたんですよ。

古田島:
夜10時からやって。てっぺん越すと、男4人なんでくだらないシモネタ会議になっちゃって(笑)
どんどん方向がずれていって、明け方ぐらいに横田がぽんと出したんですよ。

横田:
「マクガフィンズ」って名前をね。
それまでひどかったんですよ。「バナナボート」とか。
バナナボートってなんだよ!(笑)

古田島:
もう、わっけわかんないよね!(笑)

横田:
わっけわかんない(笑)
マクガフィンズの由来なんですけど、「マクガフィン」という言葉があるんですよ。ヒッチコックっていう映画監督が使っていた映画を撮る上でのテクニックの1つで。どんなものなのかっていうと……ストーリーを展開させる上ではすごく重要なものなんだけど、それそのものには意味がないもの。それをマクガフィンというんですよ。
たとえばヒッチコック本人が言ってるものだと、スパイ映画だったら秘密の書類とか。
ヒッチコックが映画会社の人と話をしていた時、映画会社の人が「作品の中にプルトニウムが出てくるんですけど、プルトニウムはやばいです」って言うんですよ。でもヒッチコックは「プルトニウムがダメならダイヤモンドでいきましょう」と軽い感じで変えちゃうんです。プルトニウムでもダイヤモンドでも何でもよかったんです。とにかくストーリー展開上、それをきっかけに話が転べば何でもいいもの、それがマクガフィン。
で、いつもこの話した後に「もしかしたら……あなたの恋人も、マクガフィンかもしれないよね」って言うんだけど……まずマクガフィンがよくわかんないからこの話全然ピンと来ないみたいで(笑)
今もしゃべったときに、会場が「え?」みたいな感じになったでしょ?

古田島:
(お客さんに)意味わかります?

横田:
わかりますかね。わかんないですよねえ。

古田島:
たとえばナイフって言うものがあったとして。
人を殺すときにナイフって重要なんだけど、拳銃でもアイスピックでもいい。

横田:
(マクガフィンズでは)アイスピックよく使うよね。別に好きなわけじゃないけど。

古田島:
人を殺せればなんでもいい。話が転がれば。で、ナイフがその話のマクガフィン。
で、それに「ズ」をつけて「マクガフィンズ」っていうのが名前の由来。

横田:
その前に出てたのはバナナボート。じゃあマクガフィンズだよ!
かっこ悪いもの!バナナボートって!

古田島:
「平成狸合戦ぽんぽこからパクろう」みたいな流れもあったよね。

横田:
なんでそこからパクるんだよ!怖いわ深夜のテンション!

古田島:
全然かっこよくない!マクガフィンズでよかった。

横田:
ホントにねえ。いい話ですよ。

※※※

古田島:
(質問を読み上げて)「マクガフィンズの皆さんはどういう繋がりですか?」

横田:
最初の4人が、どうやって集まったかってことだね。

古田島:
俺が一回、社会人やってまして。もともと芝居を高校の頃からずっとやってて、大学でもやってまして。
そこに、水越が先輩でいて。まあ上手いんですよね。「この人と芝居やったら楽しそうだな」と。
で、大学4年の頃に、部活は引退したんですけど、あるきっかけでまた大学で芝居をやることになったんです。その時点で社会人になることが決まってたんで、 どうせなら今の自分が思い描く中で最高のキャスティングでやりたいなと思って水越さんに声かけて。水越さんは先輩なんでもう大学卒業してたんですけど、二つ返事で「やる」って言ってくれて。
その時に野田秀樹の「赤鬼」をやると決めていたんですけど、ミズカネっていう役が、今まで見たことある人の中で誰にやってもらいたいかなと思ったときに……高校の頃に演劇の地区大会で見た横田君がいたらいいなあと思ったんですね。全然つながりがなかったから連絡先も知らないし、何やってるかも知らないのに(笑)

横田:
こっちもぜんっぜん知らなかったよ!(笑)

古田島:
で、そんなこと考えながらバイト先のモスバーガーで働いてたら……

横田:
おれが急に現れたんだよね。「おお」みたいな感じで。

(会場、ざわめく)

横田:
今、「おお」なんて軽いノリで言ったけど、当時「おお」なんてもんじゃないですよ。

古田島:
(ひどく引っ込み思案に)よ……よこたくん……?

横田:
そうそうそう!忘れもしないよ!おれ、そんとき全然お金なくって、モスバーガーの「チーズポン」っていう30円ぐらいのやつ一個とカフェラテを注文して。で、ふっと前を見たら「古田島」って書いてある名札がある。

古田島:
(笑)

横田:
あれ、こいつ……もしかして!みたいな。「こいつもしかして」ぐらいのレベル(笑)

古田島:
そんなレベルで、それが2月だったかな?寒い季節で。
その年の11月に芝居やるって決まってたんで、帰り際に「横田君、夏ぐらいヒマ?」って。

横田:
そう!久しぶりに会っていきなりだよ!「よう!久しぶり!」とかじゃないからね。
おれが店を出たあと店の外まで追いかけてきて「芝居出てくれない?」って。なんだよ、それ!(笑)

古田島:
で、それで横田と水越が初顔合わせ。その時やった「赤鬼」には相川も出てて、4人が出会ったんです。
その公演が終わったら芝居やめるって決めてたから俺はそのまま社会人になって、鬱々と過ごしてたんですよ。そんな中、横田が俺の知らない人と劇団を立ち上げるっていうから、じゃあ見に行くかーって思って……そしたらまーーーーーーーつまんなくて!!!

横田:
すいませんねほんとに。

古田島:
いやー!すっごいつまらなくて!!びっくりするぐらいつまらなくて!!!

横田:
(笑)しかも当時僕は脚本を書いてなかったんですよね。その時の劇団は、僕ともうひとりのヤツ、二人で旗揚げしたんですが、もうひとりのヤツが作・演出だったんですよ。だから僕が当時やっていたことは制作と雑務、そして出演だったんです。

古田島:
私は、知人の出てる芝居は面白くてもつまらなくてもアンケートには「お疲れ様でした」の一言しか書かないんですよ。でも、そのアンケートにはべらぼうに書いた!「横田君はどこにいこうとしてるんですか」って。(笑)

横田:
「横田君が全力でバックしてる姿が見えました」って(笑)

古田島:
で、その横田が旗揚げした劇団の公演には相川も出てて。

横田:
お願いしたからね。「出てくれないか」って。

古田島:
相川には客出しのときに「あの役、お前がやる意味あんの?」ってすげえマジトーンでダメ出しをして去っていって。その後、横田には電話かなんかで「お前ずっとあそこ続けんの?」って聞いたら「いやー、どうかな……」みたいな反応だったから「だったら俺が仕事やめるから一緒に芝居やろう、劇団立ち上げよう」って言って始まった。一緒にやるなら誰だって話をした時に水越さんがポンと浮かんで、でも水越さんは当時から声優になろうとしてたから、舞台には興味ないかな。断られるかもなあ。いや、なんとかお願いしてみよう。……なんて話をしてていざ声掛けて見たら水越さん「あー!いーよー!」って(笑)

横田:
かるっ!!かるいんだよあの人ー!!!すごく軽いんですよね(笑)

古田島:
そんな感じでオーケーしてくれて。
それで相川も参加して、4人で旗揚げをしたという感じです。

横田:
そうなんですよ。

古田島:
アパートの一室みたいなところで旗揚げ公演をしたんですよね。

横田:
東中野の、RAFTっていうところですね。舞台は僕の部屋より狭い……いや僕の部屋ぐらいですかね。僕の部屋5畳ですけどね。

古田島:
(笑)いや5畳よりはあるよ!

横田:
(笑)

古田島:
小屋代は3日で5万。小屋を下見に行った時「ここにお客さん何人ぐらい入れますかね?」って聞いたら「20、30入ったらパンパンですよ」って小屋主さんが言ったとこに50人ぶち込んで。

横田:
あれは無茶したねー。

古田島:
で、4ステ200人ぐらい入って何とか回ってたって感じで。その頃からお手伝いしていただいていたのが、後に劇団員になる土屋井上。最初は劇団員じゃなかったんですよね。でも、その後もずっと手伝ってくれて「劇団員にならないか」って声かけて今に至る。

横田:
うん。そんな感じだね。

古田島:
あとは、今は劇団員の有村さんとか。

横田:
有村さんは僕の前の劇団の先輩ですね。僕が「出て下さい」とお願いしました。

古田島:
金魚も横田のつながりで。

横田:
そうだね。前に所属していた劇団に客演で出てくれて、そっからずっと誘い続けて。マクガフィンズの旗揚げ公演からずーっと出てもらってて、3年越しで劇団員になってくれました。

古田島:
そんな感じですかね。

 

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